【vol.2】ウェディングドレスはなぜ白い?白いウェディングドレスを広めた人物とは?

前回の【vol.1】ウェディングドレスはなぜ白い?白いウェディングドレスを広めた人物とは?では、ウェディングドレスの始まりと、白いウェディングドレスを後世にまで広めた人物としてイギリスのヴィクトリア女王をご紹介しました。
vol.2の今回は日本の婚礼衣装の移り変わりについてご紹介します。

【vol.1】ウェディングドレスはなぜ白い?白いウェディングドレスを広めた人物とは?

日本の婚礼衣装といえば白無垢


日本の婚礼衣装といえば白無垢をイメージされる方も多いことと思います。
白無垢は日本の婚礼衣装の中でもっとも格式が高い礼装です。
白い長襦袢を身に着けて白い掛下(打掛の下に着用する振袖のこと)をつけて、白い打掛を羽織るというスタイルが伝統的な白無垢です。
近年では真っ白にこだわらず、刺しゅうや鮮やかな色・柄が施されている色打掛も人気ですね。

 

白無垢の歴史

日本人が婚礼衣装として白い衣装を着用するようになったのは、平安時代の頃だと言われています。
白い衣装が選ばれたのは白が神聖な色であり清純無垢、婚家の色に染まるという意味合いもあったと考えられています。

白無垢が着用されるようになったのは室町時代です。足利幕府によって礼道教育が開始され、婚礼の衣装と細かい作法が確立されました。
これにより、武家の娘の婚礼衣装には白無垢というスタイルが定番化したのです。

 

花嫁衣裳の移り変わり

室町時代に始まった白無垢は江戸時代にも受け継がれています。

江戸時代

江戸時代には白一色ではなく下着に紅梅色を用いたり、下着の裏や打掛の裏に紅絹(もみ)という赤く染めた無地の平絹を使うこともありました。
婚礼の義が無事に終わったあとは、花婿から贈られる赤い色物の着物に着替えるお色直しを行いました。

また、江戸時代には白打掛ではなく、色打掛が使用されることもありました。
色打掛を婚礼衣装として取り入れたのは一部の武家の娘だったのだとか。色打掛は白無垢よりも格下の衣装だったのですが、現代は正式な礼装として扱われています。

 

明治時代

明治時代に入っても江戸時代から続く華やかな婚礼衣装もありましたが、それは裕福な家の娘の結婚式に限って着用されていたものでした。
一般の家庭では黒い縮緬(ちりめん)の裾模様で、袖も振袖ではなく中振や留袖のものを着用していました。


出展:コトバンク

当時の結婚式は式場ではなく家で行うことが一般的だったのですが、この頃から結婚式場が神前になってきます。
この神前式での婚礼衣装は再び白無垢が用いられるようになり、ここからは神前式では白無垢が定着しました。

 

昭和時代


昭和の戦前の婚礼衣装は、一般的には花嫁は黒留袖に文金高島田というスタイルだったようです。裕福な家庭では、黒振袖に白い打掛というスタイルも流行っていたそうですよ。
いつの時代も新しいものや流行りが好きな女の子がいたのかもしれませんね!
また、都会での挙式では、花婿は洋装でモーニングを着用することもありました。


出展:ささのだい

戦時中は何もかもを我慢しなければいけない時代でした。
婚礼衣装は新郎は国民服と戦闘帽、新婦はモンペに上っ張りで頭には防空頭巾というスタイルでした。

戦争も終わって結婚式もだんだんと華やかになり多様になってきます。
そして、1959年(昭和34年)4月10日にご成婚なされたのが平成から令和に代わって上皇后様になられた美智子様です。
陛下と美智子様のご成婚パレードには全国から53万人もの観客が来場して大変なブームになりました。


出展:25ans

美智子様が着用されたウェディングドレスには日本製の明輝瑞鳥錦(めいきずいちょうにしき)という厚手のシルクタフタがたっぷり使用されました。
デザインしたのはあのクリスチャン・ディオールです。(クリスチャン・ディオールが亡くなり、イブ・サンローランが完成させました)

世界のトップデザイナーがデザインした素晴らしいウェディングドレスを堂々と着こなす美智子様は日本人にとって大きな励みになりましたし、憧れでもあり自慢でした。

 

純白のウェディングドレスが日本に広まったのはいつ?

日本で初めて真っ白なウェディングドレスで挙式が行われたのは1873年と言われています。
日本人女性と中国人男性が長崎で挙式をした際に着用されました。
ただ、このドレスは新郎が交易を行っていたシンガポールで購入したものとされていて、まだまだ一般化はしませんでした。

 

日本のウェディングドレスの変遷

日本でウェディングドレスでの挙式が行われるようになったのは1965年以降です。
ウェディングドレスデザイナーの桂由美が1965年に初めてブライダルファッションショーを開催してウェディングドレスの販売を始めたのです。
この頃はまだまだ婚礼衣装といえば和装の時代でしたので、大変なセンセーショナルを巻き起こしたんですよ。

1965年当時のウェディングドレスは、Aラインのシンプルなもので肌の露出もほぼありませんでした。
1970年から80年代になると、さらにウェディングドレスでの挙式に憧れる女性が増えてきます。1981年のチャールズ皇太子とダイアナ妃のロイヤルファミリーのご結婚がブームのきっかけです。
ただ、最初の頃は現代とは違い挙式は白無垢の神前式で行って、お色直しで純白のウェディングドレスを着用するというスタイルが多かったようです。

1970年代~80年代の高度経済成長期になると、ウェディングドレスのシルエットそのものが大きくなります。
1986年~91年には日本はバブル期になります。ウェディングドレスもどんどん豪華になり、生地もシルクタフタやシルクサテンなどが使用されるようになりました。
袖にも大きなパフスリーブが用いられ、トレーンもロングトレーンが流行ります。

バブルが崩壊すると結婚式そのものが地味婚と呼ばれる時代に入ります。
派手なパフスリーブは流行らなくなり、胸元はオフショルダーとシンプルなデザインが好まれるようになります。


2000年に入ると多くの日本人が欧米のウェディングドレスやデザイナーに憧れるようになります。この風潮は令和の今でも続いているのではないでしょうか。
生地、デザイン、ラインのトレンドは大きく変化して、花嫁さんひとりひとりが自分の個性や雰囲気にあったウェディングドレスを選べる時代となりました。

 

これからも変わり続けるウェディングドレス

白いウェディングドレスを世界に広めた人物はヴィクトリア女王で、彼女がイギリス製のレース生地で制作した白いウェディングドレスを着用したのが1940年でした。
日本においては桂由美が初めてブライダルファッションショーを開催したのが1965年なので、日本人女性が当たり前にウェディングドレスで挙式をするようになってから、まだたったの60年くらいしか経っていないんですね!
ウェディングドレスのデザインやトレンドも、これからもどんどん変わっていくのでしょう。
デアドレスクリーニング工房もウェディングドレスの変遷を楽しみにしています♪