ハイブランドウェディングドレス ~検品の大切さ~


海外のセレブ達が着るような高級なブランドウェディングドレス。
テレビや雑誌などで目にして、「あんなドレスを着てみたいなぁ」と思うことはないでしょうか。
それは、結婚を控えた花嫁さんならずとも、女子なら一度は思ったことがあるのではないかと思います。

ハイブランドのウェディングドレス

DEAドレスクリーニング工房でも、高級ブランドのウェディングドレスのクリーニングのご注文をいただきます。
その中の一つであるヴェラ・ウォン(VERA WANG)というブランドは、オシャレ女子なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
このブランドは、海外セレブだけでなく、日本でもモデルさんや芸能人、最近ではTVドラマの中で、人気女優が着用したことでも有名です。
結婚を控えている花嫁さんの中でも、このブランドのウェディングドレスを候補の一つとして考えている方も多いかと思います。
特に人気が高いのが、型番「1G029」のウェディングドレスです。
「バレリーナ」と言われており、その名の通り、キュッと締まったコルセット風のビスチエに、ふんわり広がるチュールがなんともかわいらしい、バレリーナを思わせるようなウェディングドレスなのです。
シルエットもとても綺麗で、計算されつくされたそのドレスラインは、着用時にうっとりするほどです。
また、セクシーな中にも可愛らしさがあり、なおかつトレーンもある、程よく上品なこのウェディングドレスは、とても日本の女性が好むデザインだと思います。

クリーニングで承るウェディングドレスのご紹介

今回は、DEAドレスクリーニング工房にてご依頼いただいた、ヴェラ・ウォン(VERA WANG)の「バレリーナ」と呼ばれているウェディングドレスをご紹介させていただきます。

こちらは前身頃のデザインです。
ビスチエ部分の胸元はハートカットになっており、可愛らしいですね。
お胸周りを綺麗に魅せてくれるラインとなっております。

こちらは後身頃のデザインです。
結ばれたリボンが、編み上げ風のようで可愛いです。
この後身頃のデザインは、くるみボタンのお品もあるようです。
くるみボタンをあしらったものも、上品で可愛らしいですね。

スカートはふわふわと柔らかい印象をもたらす形になっています。
付属のパニエを着用することで、さらにバレリーナのチュチュのようにふんわり広がります。

花嫁さんの中には、ウエスト部分にビジュー付きのサッシュベルトや、リボンを付けてアレンジされる方もいらっしゃるようです。
アレンジすることで、アクセントになって、さらに素敵になりそうですね。

ウェディングドレスのトレーン

こちらのヴェラ・ウォン(VERA WANG)のウェディングドレスですが、大切に着用されていたのでしょうね。
綺麗で、目立った汚れはないように見受けられます。
しかしよく見てみると、トレーン部分(後ろに引きずったスカートの裾部分)に汚れがあります。

こちらのトレーンは、ウェディングドレスの中では、比較的短めの作りですが、どうしても汚れはついてしまいますね。
お庭での写真撮影や、式場などで引きずって歩くことによって付着する汚れですが、トレーンは引きずってこそ、映えるものなので仕方のないことです。

DEAドレスクリーニング工房にてご注文いただくウェディングドレスは、ほぼ、トレーンが付いております。
また、トレーンが取り外しできるウェディングドレスもありますが、取り外せないものがほとんどです。
長いトレーンの場合は、かなりのボリュームになり、扱いが難しくなりますが、汚れはできる限り完全に除去していきたいので、丁寧な検品を行います。

ウェディングドレスクリーニングの検品

検品は詳細に行います。
各ブランドや、メーカーが提示している素材表示のタグなどをしっかり把握するのはもちろんのこと、ドライクリーニングが適しているのか、水洗いがいいか、それとも両方やるのがいいのかも、検品によって判断します。

経験豊富な職人が作業しますので、同じ種類や、似たような素材のドレスですと、クリーニングの手順の大体の見当をつけることができます。
しかし見当がついたとしても、すぐに検品が終わるわけではありません。
実際に目で見て、触って、今までの経験と擦り合わせます。

クリーニングする上での検品の大切さ

ウェディングドレスは、1着につき、おおよそ7種類~9種類の生地や糸でできています。
それぞれの素材(柄・色・生地・縫製)に合わせて、洗い方を変えなくては綺麗になりません。

例えば先程のトレーン部分の汚れですが、裏と表では生地(糸)が違うため、同じ種類の汚れであっても洗い方を変える必要があります。

また溶剤も、油性のものと水性のもの、使い分けが必要となります。
皮脂汚れは油性処理、汗や泥汚れは水性と油性の両方の処理をしないと落ちません。
しかし、素材によっては、生地を傷める可能性があることから、適した溶剤を使えないこともあります。
このあたりは、職人たちにとって葛藤する場面でもあります。

検品は、時間と手間をかけてでも、納得いく仕上がりを求める職人たちにとって特に大切な作業なのです。

検品は多くの目で何度も行うことが重要

こちらは実際の検品表です。


検品は最初の一度では終わりません。
各工程で別々の職人が厳しくチェックを入れていきます。
画像をご覧いただくとわかる通り、最低でも6回は検品があります。
検品は、多くの職人たちの目で何度も行うことが重要です。

検品の流れ

検品は、以下のような工程を経て行います。

1.受付時

まず第一工程は、受付時です。
お客様からお預かりしたウェディングドレスの状態を、細かく調べていきます。
上の画像は、トレーンの長さを計っているところです。
その他、サイズや、素材、柄・色・生地・縫製まで入念に確認し、その後にシミ・汚れのチェックをします。

2.入庫時
次は、ウェディングドレスを作業場に迎え入れる入庫時です。
実際に洗い作業に入る前に、洗い場にもれなく情報を伝えるため、ダブルチェックします。

3.洗い場

次は、洗い場です。
洗う前に熟練の職人が、適した溶剤や洗い方を見極めていきます。
かなりの集中力と、判断力を伴いますが、この見極めで判断を誤ると後戻りできないため、洗い場では、終始張り詰めた空気が漂っています。
こちらの洗い場では、見極めの結果、1時間以上もの時間を費やして洗い上がるドレスもあります。

4.シミ抜き

次は、シミ抜き時です。
洗い場で落としきれないシミや、特殊な作業が必要と判断されたシミ・汚れをチェックしていきます。
シミは、放っておくと、酸化、変色しますので、必ず除去しておく必要があります。
酸化、変色は保管の際に命取りとなりますので、注意が必要です

5.仕上げ

次は、仕上げ時です。
洗い、シミ抜き後、低温乾燥でしっかり乾かし、手アイロンによってしわを伸ばしながら、シミ・汚れをチェックしていきます。
この段階では、ほぼクリーニング完了ですが、少しでも汚れが見られた場合は、洗い場に戻されます。

6.出庫検査

最後は出庫検査時です。
もっとも汚れの多い裾部分の汚れが十分落ちているかどうかを、入庫検品の記録なども参照しながら、入念にチェックします。

DEAドレスクリーニング工房の検品力

検品の大切さは、どのドレスでも同じです。
どのドレスも思い入れが詰まったものであることは、想像に難くありません。

特に今回のウェディングドレスは、クリーニング後に真空パックに加工しました。
真空パックに加工すると、パックから出すことができないため、汚れの見逃しは許されません。
そういった意味においても、検品は大切な作業なのです。

クリーニングする上で重要なこと、それは技術力ももちろんですが、職人の「手間をかけてでも綺麗に仕上げたい」という、熱い思い、これにに勝るものはないのではないでしょうか。
この思いこそが、DEAドレスクリーニング工房の検品力を強固なものとしている所以なのです。